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■ 才能                                      2010.3.17.2010.10.12



もう40年も前になります。

初めてその人を見た時、ビックリして言葉が出ませんでした。
こんな人がいるんだ。

絵に描いたような美男子が教室に入って来ました。
顔だけでなく、細身で背が高く長髪の彼はインテリアデザイナーで、数年して教室在籍の女性と目出度く結婚しました。

その彼にギターを始める動機を聞いたら。
「女性にモテル様になりたい。」
と返事が返ってきて2度ビックリ、それ以上モテてどうするんだ。
不公平になるから断ろうと思ったんですけど。?

自分もプレスリーに憧れてギターを始めた動機の中に、同じ思いが有ったんでしょうね。
いまだにその効果が現れないのに、ギターを続けていられるのは不思議です。
ギターが好きになったみたいです。

才能って、人より優れた特殊な力ではなく、好きだと言う事ではないかと思うようになりました。

どれだけ長い時間その事と向き合えるか。
そしてそれが 苦にならない という事なのかな、そんな気がしてきました。

これもまた数十年前の話です、FM放送で聞いた事なんですけど。
落語家の大御所がパーソナリティと話していました。

色々な質問を女性がするのですが、ハグラカされて冗談ばかりで、仕事を忘れて彼女は笑っていました、言葉が出ないくらい。
番組が終わる頃にした質問までは。

「師匠がここまで来れたのは、才能が有ったからだと思いますか。
 それとも稽古をしたからですか。」

初めて真剣になり、「ウーン」と唸ったまま暫く黙ってから、、、出てきた言葉は。

「好きだった、って事かな」

「そんなに才能が有るとも思えないし、真面目に稽古したとも思えないし。
 やっぱり好きだった、って事なんだろうな。」

この言葉を聞き、それなら自分にも出来そう、と何時もどこかにあった不安が薄れたのを覚えています。

才能って、自分に有るのか無いのか、ある程度時間が経たないと分からない様に思います。
40年も50年も苦にならずに続けられて、もしかしたら、と気づくのかもしれませんね。
天才的な人は別として。

ところで、さっきの彼。
ギターが弾けるようになって、益々女性にモテル様になったかどうかは。
悔しいから聞きませんでした。?!!